はザエルアポロにつくられた破面だ。(正確に言えばあいつに改造された虚を藍染様が破面にした、 ということらしいが、そんな細かいことはどうでもいい)そのためか、普通の破面に比べ知識は浅く、 様々なことを教えなければならない。そしてその役目は何故か俺が請け負っている。 幸いは勉強が好きなようで、今日も自ら進んであいつからもらった本を読んでいる。

「イールフォルト、」

そして分からないことがあると俺に聞くのだ。

「なんだ?」
「恋人って、何?」

思わず耳を疑った。一体あいつはにどんな本を読ませているんだ。

「…恋人ってのはな、互いに好き合って、一緒に過ごしたり、手を繋いだり…」
「じゃあ、私とイールフォルトは、恋人?」
「ば、バカ言うな!」
「一緒に過ごしたり、手も繋ぐ」

ほら、とは小さな手で俺の手を握った。

「ね、恋人」

駄目だ、このままではのペースに呑み込まれてしまう。もっと分かりやすく説明できないものか…

「…恋人はな、キスをするんだ」
「キス…?」
「あー…、互いの唇をくっ付けるんだ。そのあとは…いつか分かる」
「ん」

分かった、と返事をするのと同時に、はすっと体を俺に近づけた。それと共に唇に感じる違和感。 これはなんだ。何が起こっているんだ。一瞬理解できなかった。

「こう?」

目を輝かせて聞いてくる。

「あ、ああ…」

こうなってしまっては仕方ない。ここで終わらせては男が廃るというものだ。

「…あいつには言うなよ」


"そのあと"を教えてやろうか。





080707