はザエルアポロにつくられた破面だ。(正確に言えばあいつに改造された虚を藍染様が破面にした、
ということらしいが、そんな細かいことはどうでもいい)そのためか、普通の破面に比べ知識は浅く、
様々なことを教えなければならない。そしてその役目は何故か俺が請け負っている。
幸いは勉強が好きなようで、今日も自ら進んであいつからもらった本を読んでいる。 「イールフォルト、」 そして分からないことがあると俺に聞くのだ。
「なんだ?」 思わず耳を疑った。一体あいつはにどんな本を読ませているんだ。
「…恋人ってのはな、互いに好き合って、一緒に過ごしたり、手を繋いだり…」 ほら、とは小さな手で俺の手を握った。 「ね、恋人」 駄目だ、このままではのペースに呑み込まれてしまう。もっと分かりやすく説明できないものか…
「…恋人はな、キスをするんだ」 分かった、と返事をするのと同時に、はすっと体を俺に近づけた。それと共に唇に感じる違和感。 これはなんだ。何が起こっているんだ。一瞬理解できなかった。 「こう?」 目を輝かせて聞いてくる。 「あ、ああ…」 こうなってしまっては仕方ない。ここで終わらせては男が廃るというものだ。 「…あいつには言うなよ」
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