あなたに尽くす義務とあなたのとなりにいる権利

 

 

今日のイールフォルトはやけに上機嫌だった。

そして唐突に「明日から会えなくなる」と言い出した。

何故、と問えば、彼は「現世に行くんだ」と答えた。

 

「現世に行ってどうするの」
「例の死神のところに行く。心配するな、すぐ帰ってくる」

イールフォルトは自信満々にそう言った。

他にも、グリムジョーやシャウロンも現世に降りると聞いた。

 

私は何の迷いも無く、快く彼を見送った。

 

 

そして私は待った。

あの死神を殺して帰ってくる彼を心待ちにして。

 

 

 

けれど帰ってきたのは

 

グリムジョー、だけ。

 

 

そして彼は酷い怪我を負っていた。

(私が会った時には、左手も失くなっていた)

 

「…イールフォルトは?」

私はグリムジョーに問うた。

返ってくる言葉なんて、分かりきっているのに。

「死んだ」

 

「そう」

「悪かったな」
「貴方を責めたって、イールフォルトは帰ってこないじゃない…」

 

 

 

 

貴方は私の名を呼んでくれた。

貴方は私を認めてくれた。

 

貴方は私に愛をくれた。

 

 

私は貴方に尽くさなければならないの。

まだ役目を終えていないの。

 

 

だから、

 

戻ってきてよ、ねえ。

 

 

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

06.05.05