カニバリズム・サディズム
左肩に巻かれた包帯。
(掟に叛いた彼は、案の定それなりの罰を受けたらしい。)
滲む血、毒々しい暗赤色。
私の中の本能が、微かに蠢いた。
「ねえ、グリムジョー」
が不敵な笑みを見せた。
「もう片方の手はどうしたの?」
の細く白い指が、グリムジョーの顎を軽く持ち上げる。
「東仙が燃やしやがった…」
白けた顔をするグリムジョーとは裏腹に、は「それは残念」、と小さく呟いた。
「残ってたら無理矢理くっ付けでもするのか?」
グリムジョーが鼻で嗤う。
「違うわ、私がいただくの」
はグリムジョーの包帯を取り、そっと傷口を舐めた。
少し化膿した、傷口を。
「…ッ!何しやがる…!!」
「アナタの血、肉、骨。全てが愛おしい。だから欲しくなるの。
歯を立てないだけいいでしょう?」
悲痛、苦患。アナタの悲鳴が、私の快感になる。
できることならアナタの躯、ぜんぶ食べてしまいたいわ。
「私がグリムジョーを殺したら、グリムジョーは私のモノになってくれる?」
「その前にお前は俺のモノだろう」
自分の所有物に喰われる様も、見物かもね。
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06.05.01