頬を伝う小さな雨垂

 

 

いつもと何ら変わりはない。

ただ、私たちの仲間が、少し減っただけ。

 

久しぶりに揃った面々の中には、いるはずの2人が、いなかった。

「あれ、ディ・ロイとエドラドは…」
「死んだ」

グリムジョーは眉間に皺を寄せて答えた。

「これが彼等の実力だ。弱いものはいつか死ぬ」

ウルキオラが素っ気なく言った。

「そっか」

 
目の奥がジンとした。

なんでだろう。
破面に感情など無いはずなのに。

 

なんだろう。

 

この胸の痛みは。

 

 
私の頬は微かに濡れていた。

雨など降っていない。

 
私の、涙。

 

泣くな、泣き止め。
破面に涙など、必要ないはずだ。

 

「泣くな、目障りだ!!」

隣にいたグリムジョーが、大声を張り上げた。

「ったく、いつまでもメソメソしてんじゃねぇよ!!」

 

返す言葉もない。

 

グリムジョーの言葉は、私の胸に、まるで弓矢みたいに突き刺さって、突き刺さった。

 

 
ウルキオラたちはいつの間にか、いなくなっていた。

 

 
2人だけの時間は、すごく静かだった。

もっと、グリムジョーがうるさくすると思ってたのに。

 
「お前がつらい思いしてんのは、俺がちゃんと分かってるから」

掛けられた言葉は、あまりに優しすぎた。

 

「グリ…ム…ジョー…っ」

 

彼の腕の中で、私は延々と泣き続けた。

 

 

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05.12.22