この青空を全部、
破面の誰にも(もちろん藍染様にも)内緒で現世に来た私、とグリムジョー。
別に手柄を取ろうとか、そういうことじゃなくて。(グリムジョーはどうだか知らないけど)
この空が見たかった。
虚圏の空とは違う、一面の水色。
手を伸ばしたら届きそうなぐらい、低い空。
不意に下を見れば、人間達が早歩きで地面を歩いていた。
彼らにも、私たちが見えているのだろうか。
否、見える筈は無いだろう。
仮に見えたとしてもそれは極少数だ。
そんなこと考えてたら、だんだん哀しくなってきた。
私たちの存在は、まるで透明。
もしくは、くすんだ色。
少なくともこんな空みたいな綺麗な色にはとてもなれない。
「破面って、切ないね」
「は?なんだよいきなり」
「なんでもないよ」
私はまた空を見た。
切なさを、紛らわせるように。
きれいな水色の空。
そういえばグリムジョーの髪も、こんな色だっけ。
「帰ろっか」
「テメェ何のために俺を呼んだんだよ」
「なんとなく。私の本能がそう言ったの」
私の欲しかったものは、こんなにも近くにあった。
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05.12.12